| PROJECT STORY |
<One 富士通ゼネラル>で課題を突破。
部署を超えた連携が、質の高い成果を生み出す。
会社の中での仕事は、それぞれが複雑に絡み合っている。
誰か一人が単独で行っているように見えても、その背景にはさまざまな人の働きがあるのだ。
そうした連携を意識し、積極的につながることで、より効率的に質の高い成果を生み出すことができる。
自社や顧客の抱える課題を解決に導き、新たな価値が創出されることも少なくない。
富士通ゼネラルでは、全社が一丸となって業務に取り組んでいる。
では、どんな連携が行われているのか。
「国内営業×社内SE」「国内営業×生産計画」を通じてその一端をご紹介する。
Yoshida Hironori
Iitsuka Takashi
営業というと社外を飛び回り顧客に提案をしてと、ITとは無関係なイメージがあるかもしれない。しかし、「ITなくして営業は成り立ちません」と吉田は断言する。ITは営業活動を推進し、売上拡大を図る上で重要な役割を果たしているという。事実、国内営業と社内SEは週に1回はミーティングを開き、業務改善や生産性の向上のため意見交換をしている。
「エンジニアはシステムに詳しいだけではダメなんです」とはエンジニア側からの意見だ。飯塚は「ここはシステムを導入したほうがいい、そこは人力で行うのが適切など、かなり突っ込んだ提案をします。そのために、業務に詳しくなくてはならないんですね」と強調した。IT化の目的はシステム導入ではない。業務改善や生産性の向上を見据えて、現状をどうITでサポート、変革するかが重要なポイントになる。IT化あるいはDXというと、何か高度な技術を用いて大々的な変化を起こすと想像するかもしれないが、本質は仕事をしやすくし、業績アップをサポートすることにある。この点を忘れてはならないのだ。
IT化は単にシステムを導入することでは終わらない。システム導入そのものよりも、導入したシステムの定着・運用が課題になるケースも少なくない。例えば、ペーパーレスの取り組みもその一つだ。もしかしすると、今はどこもペーパーレスで仕事をしていると想像するかもしれないだろう。しかし、仕事の現場ではFAXなど紙で情報のやり取りや記録を行っていることが多い。古くからの慣習を変えるのは簡単なようで難しいのだ。実は富士通ゼネラルでは数年前にもペーパーレス化に取り組んだが、従来の慣習が根強く残り定着しなかった。それでも実務は紙で対応できていたのだが、紙を使う課題として管理が物理的に煩雑になることに加えて、必要な時に必要な情報が迅速に取れないことなどがあった。「営業活動が非効率になるのは明らかでした」と吉田。そこで再度ペーパーレス化を推進し、システムの定着を図るため、「本社とすべての支店で研修を行いました。その後も、使い勝手をヒアリングし随時、改善を行っています」と飯塚は語る。この甲斐あってペーパーレス化が定着しつつある。導入後がいかに重要かよくわかるだろう。
効率という面ではシステム導入による「見える化」は大きな効果があった。営業としてエアコンを扱う性質上、設置工事がサービスとして付随する。工事は別部門の担当だが営業はお客様の「窓口」という側面もあり、問い合わせは多く寄せられる。また、営業は個々で案件管理していたため、お客様から本社や支店に問い合わせがあっても、担当営業に連絡を取らないと状況が確認できないことが度々あった。「非効率なのは言うまでもありません。営業は営業活動に集中したいのが本音ですし、そのほうが業績も向上します。何とかならないかと飯塚さんに相談して、一元管理のシステムを入れることにしたんです」。この結果、工事状況の見える化が進み、営業が本来の業務に集中できる体制が作られた。
「業務上の課題は常にあります。営業担当や支店からの要望も多く上がっており、これで完璧という状況にはならないでしょう。だからこそ、システム部門をはじめ、他部門との連携・協業は最重要事項の一つなんです」と吉田は言う。飯塚も「システム部門にとってのお客様は、社内の他部門の方です。お客様の仕事を理解し、私たちに何ができるか。これからも知恵を絞っていきます」と語る。富士通ゼネラルには、これまでの営業活動を通じて蓄積されたデータがかなりある。そうしたデータを活用し、これまでにない付加価値の創出も視野に入れている。国内営業×社内SEがますます仕事の質を高めていくことだろう。
Kanazawa Nobunao
Taguchi Yosuke
製品(エアコン)が生活者のもとに届く――。一見当たり前のことだが、実は無計画では実現しない。この当たり前を実現するためには、営業部門の販売台数と製造部門の生産台数の調和が取れていなければならず、ここにズレが生じると必要な時に製品がない、あるいは製品を作り過ぎて在庫を抱え場合によっては処分する事態になってしまう。営業部門と製造部門は別個に動きながらも連携が取れていなければならない。この両者の間に入り調整をしているのが空調機営業推進部と生産計画部だ。
エアコンの生産は、数カ月先を見越して計画的に行われる。従って、営業担当が月々に販売できる台数も決まってくる。一方、エアコンのニーズは「天候一つで変わってきます」と営業の金澤が言うように、先が読めないことが多々ある。このため、両部門では毎日連絡を取り合い、互いの状況を確認しているのだった。生産計画の田口は「営業の状況を聞くと同時に、工場など製造現場の状況を把握し、常に過不足のない状況を作るのが生産計画の役割です」と語った。
営業は最前線で顧客の要望を聞き、ニーズに応える役割を持つ。スピードが重要なキーとなることも少なくない。そうしたことを理解するだけに、田口は「可能な限り要望に応えたい」という気持ちを強く持つ。一方、生産計画部で製造の現場を知る者として、状況を俯瞰し正しい判断を行うことが求められる。「営業にとって販売台数を1台増やすのはとても重要で大変なことです。でも、製造は100台1000台単位で行います。少数の増産にはなかなか応えづらいのが現状です」。仮に突発的なニーズに応え増産したとしても、製品が完成するまでは一定の時間がかかり、お客様の手元に届くまでにはタイムラグがある。それまでお客様に待っていただけるかということも十分に精査しなければならないのだ。「営業や製造に関わる全員が納得いく結果に持っていくことを常に目指していますが、簡単ではありません」と田口は語る。
営業としては、製品があればあるほどいい。在庫を抱えることになっても、必要な時に必要な製品を届けたいというのが営業の思いであり、役割でもある。しかし、在庫を抱えることや、製造部門を無理に稼働させることは「会社にダメージを与えることになりかねません」と金澤は言う。「本音では営業の要望は全部通してほしいんですね。ただ、それが会社のためになるのか自問自答し、その上で伝えるべきことをきちんと伝えます」と真摯な表情を見せた。空調機営業推進部と生産計画部が連携をする上で互いの信頼関係は欠かせない。どちらか一方の声が強くなりすぎても、適切な営業・生産は難しいだろう。
生産の調整や計画に携わる者にとって、最大の仕事の成果は何もないこと、問題が起きないことだ。つまり、金澤や田口の存在が目立たないほうが良い仕事ができている状態というわけだ。「仕事はイレギュラーの連続です。計画通りに物事が進むのがベストですが、そうなることは極めて稀です。だからこそ、私たちのような存在が必要とされるのです」と金澤。「生産計画の仕事には派手さはありません。営業スタッフがエアコン販売の裏方的存在の生産計画を意識することはほとんどないでしょう。目立ってはいけない立場だから、それでいいんです。でも、生産計画の仕事は会社の業績に大きな影響を及ぼします。『縁の下の力持ち』として役割を全うしたいと思います」と田口は後方支援を行うものならではの矜持をのぞかせた。
国内営業と生産計画は常に二人三脚で事業を進めてきた。長い歴史を積み重ねる中でデータが蓄積されている。今後はそのデータを、生産計画を立てる際に活用することも視野に入れている。となると、今度はシステム部門の協力が欠かせなくなるだろう。会社の中にはさまざまな仕事があり、それぞれに重要な役割を担っている。関係がないように見える仕事でも、互いに影響し合っていることは多い。どんな仕事でも一人や一部門で完結し得ることはないし、一人でできないことを成し遂げることに会社という組織の意義もある。
――質の高い仕事をするには、部門を超えた連携が必要不可欠だ。今後ますます仕事が高度化する中で、コラボレーションはますます求められるだろう。会社で仕事をする上で協力と協調がいかに重要か、その一端を「国内営業×社内SE」「国内営業×生産計画」を通じて見ていただいた。会社で仕事を行うことについて、少しでも理解が深まったら幸甚だ。
※所属や内容などは、取材当時のものです。