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| PROJECT STORY |

未来の『快適』を、
多くの人々に届けたい。

ウェアラブルエアコン
“Cómodo gear” 開発ストーリー

profile

  • 段 彦昭

    dan ensho

  • 佐藤 龍之介

    sato ryunosuke

  • 阿部 祐也

    abe yuya

  • ウエアラブル事業部 オペレーティングコーディネーター
  • ウエアラブル事業部 ビジネスアーキテクト
  • ウエアラブル事業部 クラフトアーキテクト

Innovation Story.01
Being Innovative Groupの コンセプトを具現化するために。

佐藤が富士通ゼネラルに入社したのは、2015年のこと。
佐藤は就職活動中、「生活者の近くで、生活者の反応を感じられる製品の開発がしたい」と考えていた。中でもエアコンは、人々の生活に大きな影響を与える製品として魅力的に感じられた。エアコンを手掛ける企業の中でも、富士通ゼネラルは製品開発において高い技術力があり、出会った社員の人柄にも魅かれ、佐藤は強く入社を希望するようになっていた。化学を専攻していた佐藤にとっては、周囲の学生とは少し違う進路を選ぶこととなったが、企業研究をしっかりと行い、熱意を伝えることで内定を獲得、入社に至った。

コンセプトを具現化するために。

佐藤が配属を希望していたのは、エアコンの命とも言えるコンプレッサー開発部門。しかし、実際に配属となったのは空調機器の先行開発を行う部門だった。
「希望通りの配属となった同期がほとんどだったので、戸惑いはありました。先行開発部門に化学を専攻した人材がいなかったので来てもらった、と説明され納得しました。それに、実際働き始めてみると、先進的な技術に触れる機会も多くて刺激的でしたし、新人は自分だけで周りはベテラン揃いという環境で学ぶことも多く、成長や活躍のチャンスに恵まれた部署に配属になったんだ、と理解できました。」

2016年11月、上海への製造実習から帰国した佐藤に、所属部署の上司が声をかけてきた。
「社長が提唱している『新しい価値を創造し、世の中に提供する』ことを具現化するための専任グループ、BIG(Being Innovative Group)という新しい部署が立ち上がったんだ。よかったら、君もそこでチャレンジしてみないか?」

翌日には、社長を含む経営幹部との面談。翌月にはBIGへ異動となり、部長以下4人のメンバーの中で、佐藤は最も若手の社員となった。会社の未来を創造する部署の人財に、富士通ゼネラルは2年目の若手を配属。その決定は、社長以下幹部が直接本人と面談し即断するという、富士通ゼネラルの強みである「スピード感と風通しの良さ」をもって決められたのだった。

Innovation Story.02
世の中にないものを、 人々に新しい価値を。
意欲が、開発を推し進める。

既存の事業に縛られず、自由な発想のもと新たな価値を創造する。世の中の困りごとを解決するために必要な製品を開発しよう。
それが、BIGの目指すものであった。
佐藤は経験が少なく、空調機以外の製品についてあまり知識がないことに危機感を覚え、各地で開催されている様々な業界・分野の技術や新製品を紹介する展示会に足を運んだ。また、時間を作ってはインターネットから新たな情報を得ようと努めた。2017年3月、ある企業のサイトから、大きな可能性を秘めた製品の情報を発見した。
ある企業が、大学教授の指導のもと、携帯型の電子制御式冷暖房装置の試作機を開発していたのだった。
それは、2つの金属の接合部に通電することで熱を移動させる、いわゆるペルチェ素子を応用した製品であり、体の深部からしっかりと冷やすことができるもの。暑がりの佐藤にとって「これは使いたい!」と思うものであり、この技術を採用して製品化を実現すれば多くの人を助けることができるとも思えたのだ。

佐藤は早速その企業にアポイントを取り、詳しい話を聞いた。電子制御式冷暖房装置の開発は、その企業及び指導に当たる大学教授をはじめ、大学やゼネコン、研究開発法人が関わる大きなスケールで開発が進められていた。この技術に、自分たちが持つ製品化のノウハウや技術が加われば、実際に世に送り出せる商品となると思い、佐藤は共同での製品化を打診。こうして、“ウェアラブルエアコン”は製品化への道程を歩みはじめたのだった。

富士通ゼネラルがプロジェクトに参加した時点で、電子制御式冷暖房装置は試作機を完成させている段階であったため、佐藤たち富士通ゼネラルのメンバーが担ったタスクは、製品化に向けたテストやその結果を受けて明らかになった課題の整理と改良となった。ここで、富士通ゼネラルが持つ長年空調機開発に向き合ってきた技術の積み重ねと、製品化におけるノウハウが発揮された。

そうして2018年、夏のフィールドテストを経て、10月にはアジア最大級の規模を誇る、IT技術とエレクトロニクスの国際展示会である「CEATEC(シーテック)」への出展を果たした。社内外で反響は大きく、佐藤は改めてウェアラブルエアコンが市場から強く求められていると感じた。

そんな時に、佐藤に同期入社の段が声をかけてきた。
「佐藤君、今どんな仕事をしているの?」
開発中のウェアラブルエアコンについて説明すると、段は自分も開発に加わりたい、と言い出した。もともと新しいことへのチャレンジが好きな彼の気性を知っていたが、配属や人事は組織の判断であるため、簡単に「それなら明日から一緒にやろうよ」とは言えない。
その後、彼は自分の上司や周囲のメンバーに自分の意志を伝え、開発チームに加わることを了承してもらえるよう交渉を重ねた。その結果、同年の10月には極めて異例なプロセスではあったが、会社として彼の考えややりたいことを尊重し、BIGのメンバーとしてウェアラブルエアコン開発チームに参加することとなったのだ。

Innovation Story.03
世に出る日を待つ、Cómodo gear。
個性的なメンバーが、互いに支え合って。

2019年4月。機構設計の技術を持つ阿部が社内公募制度(メンバーを募る公募情報が社内の部署から定期的に発せられ、希望する社員はそこに応募して選考を受けることで異動が可能になる制度)を使ってチームに加わった。ウェアラブルエアコンの製品化は、強い味方を得てさらに力強く前に進んでいった。
9月には奈良の春日野国際フォーラムで開催された国際シンポジウム「快適性とスマートテキスタイル」において、3社合同でウェアラブルエアコンを仕込んだ“着るエアコン”を出展。これまた大きな反響が寄せられた。

10月には、経営幹部に対する報告会を実施。幹部も、ウェアラブルエアコンのニーズや市場における可能性を即座に認め、斎藤社長からも「これ、来年には商品化しようよ」という言葉が発せられたのだった。

試作機との出会いから2年。携帯型の電子制御式冷暖房装置の製品化に向けて動いてきた佐藤たちのプロジェクトは、ついに“事業”として確立されることとなった。事業化にあたっては、市場や投資規模の分析及び長期的な予測を踏まえたデータを用いた、具体的な事業計画の報告が求められた。具体的な事業計画等の実務に知見があまりない佐藤に代わり手腕を発揮したのが、当時空調機事業統括本部に所属していた主席部長の尾形であった。

尾形の参画により事業化が推進され、2020年1月の経営会議で事業部設立のためのプレゼンを実施。そして2月には、“ウェアラブル事業部”が創設。2020年4月。メンバーとして、品質管理を担う平田、そして営業担当の沼上が加わり、名実ともに事業部らしい陣容となっていった。

新たな価値を創造し、世の中の困りごとを解決する。そんな想いから生まれたウェアラブルエアコンは、“Cómodo gear(コモドギア)”という名を受け、世に出る日を待つこととなった。

“BIGの誕生”、そして“Cómodo gearの開発”は、富士通ゼネラルの「自由で風通しがよく、若手が活躍できる特徴」とその「技術力」を象徴するエピソードである、と言えよう。

 

※所属や内容などは、取材当時のものです。

ウェアラブルエアコン「Cómodo gear」

ウェアラブルエアコン「Comodo gear」は、快適性を身につける冷却装置です。
サーモ・モジュールを内蔵し、首に装着することで頸動脈を通る血液を効率的に冷却します。
頸部をしっかり冷却することで、いつでもどこでも快適な環境を提供します。